【母乳育児】私が吸入した「ステロイド吸入薬」は赤ちゃんに影響しますか?

ある日、1人の女性が『お薬相談室』に来店しました。

 

喘息コントロールしていたんですが、授乳してるので中止してたんですけど大丈夫ですよね?

 

最近は調子がよくて喘息発作がないから大丈夫だと思うんですけど。。。


 

授乳中でも喘息コントロールは続けてください。
「ステロイド吸入薬」は安心して使えます♪

 

例えば、ママの体重を50kg、赤ちゃんの体重を8kgとすると、ブテゾニド(パルミコート)吸入薬を赤ちゃんは母乳から、「1日に0.76㎍」飲むことになります。


 

でも、その量って赤ちゃんに影響ないんですか?


 

大丈夫です!

 

子ども(小児)の「ブデソニド」の安全量から判断することになりますが、子どもの場合「1日最高800㎍」まで安全に使用できます。

 

この量は、8kgの赤ちゃんが飲んだ量の約1,050倍です!!

 

つまり母乳からは約1050分の1しか飲んでないため赤ちゃんには影響ないです。

 

それよりも、ステロイド吸入薬を中止して再び喘息発作が始まるリスクの方が赤ちゃんにとってはキケンです。
十分な母乳をあげれなくなったり、ステロイドの量が増えたりするかもしれませんから。。。

 

詳しくはこのあとに解説します(^^)/


 

 

授乳中のママでも『喘息吸入治療』安心です

『喘息』苦しですよね。咳が止まらない。眠れない。息苦しい。動けない。

 

手に取った吸入薬を思いっ切り吸い込み背中を丸めてそーっと息をする。

 

やがてウソのように呼吸がラクになる。喘息発作は起こさないことが一番大事。だから吸入薬による『長期コントロール』は必要なことなんですね。

 

 

でも、赤ちゃんを母乳だけで育てているあなたはは「いま喘息ないから薬やめちゃおうかな」と思ったことありませんか。。。?

 

 

その考え、キケンです!

 

 

「でも不安!!吸入薬はあんぜんなの?」という声が・・・。

 

喘息吸入薬は安全です。

 

喘息の治療・コントロールには、2種類の吸入薬を使用します。

  • 長期コントロールのための『ステロイド吸入薬』
  • 発作発現時に使用する『短時間作用タイプ吸入薬』

さっそく安全性をズバッと確認しましょう。

 

赤ちゃんは母乳からどれくらいの『吸入薬』を飲んじゃうの?

疑問女性003

ママの飲んだ『吸入薬』を赤ちゃんがどれくらい母乳から飲んじゃうか?さっそく計算してみましょう。

 

【ステロイド吸入薬】発作がおこらないようにする薬『ブデソニド』

ステロイドと聞くと「体に強い影響があるんじゃない?」と不安になりますよね。でも、現在、吸入ステロイド薬はすべての喘息患者さんに長期的に使われる薬なんです。だから中止することは発作を誘発してしますためキケンです。これはママのために必要な薬なんですね。では赤ちゃんが摂取する量を計算しますね。ママの体重50kg、赤ちゃんの体重8kgとして計算します。

 

まず、『ブデソニド』は脂溶性で母乳にはいりやすい薬ですが、吸入薬のためママの血液にはほとんどはいりません(M/P 比0.50)。そのため赤ちゃんが母乳からのむ『ブデソニド』の量(RID)は0.3%です。この量を計算しますね。
M/P比(milk/plasma ratio):薬の母乳への移行を比較するための指標です。数値が大きいほど母乳移行率が大きいことになります。
RID(relative infant dose):授乳による乳児の摂取率の指標です。これはママの飲んだ薬を赤ちゃんがどれくらい母乳から摂取するかを比較する数値です。やはり数値が大きいほど赤っちゃんへの影響が大きくなります。RIDは10%以下で安全といわれています。

 

 

ママが吸入した薬が母乳にはいり、その母乳を赤ちゃが飲む割合は0.3%になります。ママの喘息の治療のために使う『ブデソニド』は1日最高1600㎍まで使える薬ですから、赤ちゃんは0.76㎍(=1600㎍/50kg×0.3%×8kg)を母乳から摂取することになります。

 

この量が多いか少ないかは『ブデソニド』の小児の使用量計算して確認してみましょう。

ブデソニドの子どもでの使用量

1回使用量 1日回数(通常) 1日の最高量
1回100〜200μg 2回 800㎍まで

表によると、子供が安全に使用できる量に対して先ほどの母乳からの摂取量0.76㎍は子どもの1回量としてもものすごく少ないですね。このことから授乳中のママにも『ブデソニドステロイド吸入薬』は安心して使える薬といえます。
(*1)『パルミコート100μgタービュヘイラー』添付文書より

 

 

ステロイド薬のデータ載せますので参考にしてください。

薬品名 ブデソニド フルチカゾンプロピオン酸エステル
分子量 430 500
投与経路 吸入 吸入
分配係数 540「[脂溶性] 15.1[脂溶性]
酸塩基性 ― (pKa 13.74) ― (pKa 13.56)
たんぱく質結合率 85~90% 81~95%
代謝活性 なし なし
半減期 2.8時間 7.8時間
M/P 比 0.50
RID 0.3%

 

【短時間作用吸入薬】発作をしずめる薬『プロカテロール』

『プロカテロール』は”発作時”に使用するため、使用方法からして母乳からの赤ちゃんの摂取量は少ないとおもいます。でも、万が一のために計算しておきましょう。
ママが吸入した薬が母乳にはいり、その母乳を赤ちゃが飲む割合は2.05%になります。ママの喘息発作時に使う『プロカテロール』は1日8回まで使用可能ですから1日の最大量は80㎍です。したがって赤ちゃんは0.26㎍(=80㎍/50kg×2.05%×8kg)を母乳から摂取することになります。

 

この量が多いか少ないかは『プロカテロール』の小児の使用量計算して確認してみましょう。

 

プロカテロールの子どもでの使用量

1回使用量 1日回数(最大) 1日の最高量
10μg 4回(最大) 40㎍

こちらの薬も子供の量に対して摂取量0.26㎍と1回量としてもものすごく少ないですね。このことから『プロカテロール短時間作用吸入薬』も授乳中ママが安心して使える薬といえます。
(*1)『メプチンエアー10μg吸入』添付文書より

 

 

短時間/長時間作用吸入薬のデータ載せますので参考にしてください

薬品名 プロカテロール(短時間) サルブタモール(短時間) ホルモテロール(長時間) サルメテロール(長時間)
分子量 335 576 344 603
投与経路 吸入 吸入 吸入 吸入
分配係数 0.236「[水溶性] 0.007[[水溶性] 2.6「[脂溶性] 100[脂溶性]
酸塩基性 塩基性 (pKa 7.35) 塩基性 (pKa 記載なし) 塩基性 (pKa 7.9) 塩基性 (pKa 9.3)
たんぱく質結合率 14.3~15.8% 6~8% 50% ≧98%
代謝活性 なし なし なし なし
半減期 3.8時間 3.8時間 8.5時間 5.5時間
M/P 比 1.71 1.19 1
RID 2.05% 2.69% 0.849%

 

半減期:飲んだ薬が半分の量になるまでにかかる時間のことです。身体への影響の長さをみるデータとなります。
M/P比(milk/plasma ratio):薬の母乳への移行を比較するための指標です。数値が大きいほど母乳移行率が大きいことになります。
RID(relative infant dose):授乳による乳児の摂取率の指標です。これはママの飲んだ薬を赤ちゃんがどれくらい母乳から摂取するかを比較する数値です。やはり数値が大きいほど赤っちゃんへの影響が大きくなります。RIDは10%以下で安全といわれています。

注)「サルブタモール」についてはデーターがないためRIDは理論値としても不明ですが、水に溶けやすいことから母乳への移行はほとんどないと予想されます。

 

まとめ

深呼吸女性画像

もともと吸入ステロイド薬は気道粘膜から吸収されにくい薬のため血中濃度はひくいくすりです。このため授乳には問題ない薬です。むしろママの喘息発作が育児に悪影響を及ぼすことのほうが問題となります。だから「授乳中だから」といって喘息治療薬を一時的に中止しないでくださいね。


 

妊婦授乳婦×くすりボタン

 

 

トップへ戻る