妊娠中に『消炎鎮痛剤』を飲んでいいか迷っているママへ

ある日、1人の女性が『お薬相談室』に来ました。

 

子どもを抱っこしている時間が長くて腰がいたくなっちゃなんです。
腰痛といわれ「痛み止め」がでたんですけど、妊娠中だから心配で。。。


 

腰痛・肩こり・腱鞘炎・関節炎など炎症を伴う痛み止めには『消炎鎮痛剤(しょうえんちんつうざい)』を使います。
妊娠中なのでちょっと注意が必要です。
注意点を簡単にまとめてみますね


 

注意点
妊娠時の『消炎鎮痛剤』の使用方法は妊娠の時期によって使い分けます。

  1. 妊娠初期(妊娠4週~13週末):原則使用できます。ただし絶対過敏期(妊娠4週~7週前後)には極力避けるほうがいいです。
  2. 妊娠中期(妊娠14週~27週末):ロキソプロフェン(商品名:ロキソニン)など一般的な痛み止めを安全に使用できる時期です。
  3. 妊婦後期(妊婦28週以降):絶対に使用しないでください。おなかの赤ちゃんの動脈管がせまくなりキケンです。

 

アセトアミノフェンは妊娠全期間で安全に使用できますが、炎症による痛み止めとしては効果はあまり期待できません。

 

以上が「痛み止め」を使用するときの、妊娠中のママが注意する点です。

 

それでは、このあとより詳しく解説していきますね♪


 

 

炎症による痛み止めが使えるとき

妊娠初期(妊娠13週末)

妊娠初期では2つ方向から薬の安全性を考えていきます。

  1. 薬の使用による流産率
  2. 薬に使用よる奇形の発生率

上の2点で妊娠初期の『痛み止め』の使用は注意が必要です。

 

妊娠初期に「消炎鎮痛剤」を使うと流産しやすくなります(*1)。必ず流産するわけではないのすが、できるだけ「消炎鎮痛剤」は避けましょう。

 

一方で、妊娠初期の「消炎鎮痛剤」使用による赤ちゃんの先天的形成異常の発生率は変わりません。

 

が、絶対過敏期は念のため特別な理由がない限り、薬の使用は避けたほうがいいです。

 

妊娠中期(妊娠14週~27週末)

妊娠中期は安全に『消炎鎮痛剤』を使用できます。

 

『消炎鎮痛剤』の使用による先天的な形態異常の発生率はベースラインリスクと変わりません。

 

実際に、痛み止めによる形態異常に関する報告はないです。

ベースラインリスク
妊婦ママが薬を使用しなくても、先天的形態異常が起きてしまう発生率のこと

 

妊婦後期(妊婦28週以降)

妊娠後期には絶対に『消炎鎮痛剤』を使用しないでください。
順番に説明しますね。

痛みの素はプロスタグランジンです

身体に傷害を受けると(炎症による)痛みが出ます。

 

この痛みの素がに『プロスタグランジン』です。痛み止めは、この『プロスタグランジン』をブロックする薬です。

 

ところが、「プロスタグランジン」には重要な働きがあるんです。

妊婦後期のプロスタグランジンは重要なホルモン

おなかの赤ちゃんは呼吸するためにママから酸素をもらっています。

 

ママからの酸素を受け取るための血管のことを『動脈管』と呼びますが、プロスタグランジンはこの血管を広げて赤ちゃんに酸素が十分いきわたるようにしています

 

『動脈管』は生まれると2~3週間で急速に閉鎖されます。これにより自分の肺で呼吸するようになります。(いわゆる、「おぎゃー」ですね(^^)).。

消炎鎮痛剤が『動脈管』を収縮させる

とっころが、消炎鎮痛剤でプロスタグランジンの生成を抑えてしまうと、『動脈管』が細くなってしまいます。

 

これはおなかの赤ちゃんにとっては大ピンチ!!酸素不足の危険が。。。

 

だから、妊娠後期に消炎鎮痛剤は絶対にのまないでください!

 

【参考】『動脈管』が細くなる割合

動脈管収縮度
(動脈管内腔/主肺動脈内径)

消炎鎮痛剤
0.4~0.7 ジクロフェナク(ボルタレン)、イブプロフェン
0.7~0.9 スリングダク(クリノリル)
0.9~1.0 アセトアミノフェン

動脈管収縮はアセトアミノフェンでは10%、ボルタレンやイブプロフェン(商品名:EVE)では60%も細くなってしまいます。

 

 

妊娠全期間で安心して使えるアセトアミノフェン

妊娠時の痛み止めといえば『アセトアミノフェン』を思いつく人も多いと思います。

 

『腱鞘炎や関節炎の痛み』にアセトアミノフェンを処方されたママもいるでしょう。
軽度の場合は、より安全性を重視しての判断もあります。

 

また妊娠後期には『アセトアミノフェン』がしか選択肢ありません。

 

しかし残念なことに、アセトアミノフェンには「炎症による痛み」にはほとんど効果が期待できないんです。

 

でも、『アセトアミノフェン』は妊娠期間中、最も安心して使える薬として重要なクスリです。

妊娠時期
妊婦中は薬剤全般に対して気を付けなければならない時期があります。妊婦4週から7週末までを『絶対過敏期』といって薬剤による胎児への影響(形態異常)が出やすい時期があります。この時期はどんな薬でも注意が必要です。必ず医師と相談してくださいね。

まとめ

消炎鎮痛剤は炎症性の痛みには有効ですが、妊婦時期によっては使用できないときがあります。

 

でも使用時期に気を付ければロキソニンなどは安全性が高い薬として妊娠時につかえます。

 

痛みによるママのストレスはおなかの赤ちゃんに悪い影響を及ぼします。消炎鎮痛剤を上手に使ってマタニティーライフをエンジョイしてください。

 

(*1)Nakhai-Pour HR et al. Use of nonaspirin nonsteroidal anti-inflammatory drugs during pregnancy and the risk of spontaneous abortion. CMAJ, 183:1713-1720,2011.

 

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