妊娠中に『抗生剤』を飲んでいいか迷っているママへ

ある日、1人の女性が『お薬相談室』に来ました。

 

残尿感ひどすぎ!
膀胱炎なんだって。。。
先生は『ばい菌をやっつける薬』って言ってたけど、強い薬は赤ちゃんに悪い影響があるんでしょ!?


 

確かに、抗生剤の中には気を付けないといけないものもありますが、「セフカペン(フロモックス)」や「セフジトレン(メイアクト)」などは安全なお薬です。
安心して使ってください。
妊娠中は免疫力が低下するので感染症にかかりやすくなります。気をつけてくださいね。


 

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妊娠中の『抗生剤』をズバッと解説!

妊婦ママの感染症に『抗生剤』は使えます。

女性の感染症

妊娠中に風邪や膀胱炎になることありますよね。特に妊婦ママは膀胱炎にかかりやすいです。原因は妊娠中は「プロゲステロン」が増加するから。「プロゲステロン」は排尿に必要な筋肉(尿路平滑筋)を緩め、さらに動き(蠕動運動)を低下させます。さらに子宮が膀胱を圧迫するため残尿が起こりやすいんです。

 

残尿は菌が繁殖するのに好環境!!だから妊婦ママは膀胱炎になりやすいんですね。膀胱炎の治療には「抗生剤」を使います。

 

「抗生剤ですか~、おなかの赤ちゃんが心配っ!おしっこの違和感程度我慢します。」って思っちゃいますよね。

 

それキケンです!

 

実は、無症状~軽度尿路感染(膀胱炎)のうち2~7%は急性腎盂腎炎になってしまいます。特に以前にも膀胱炎を経験したママはかなりの頻度(経験のない人に比べ20倍!)で腎盂腎炎になります。急性腎盂腎炎は重大な合併症を起こしてしまいます。

腎盂腎炎合併症
【腎機能障害】腎臓の感染症によって、腎臓にダメージがおこり腎臓の機能が低下します。
【敗血症/菌血症】腎盂腎炎では細菌が血液に侵入し、敗血症、菌血症と呼ばれる危険な状態になります。

では、妊婦時に使用頻度が高い抗生剤を確認しましょう。2種類あります。

  • セフカペン(商品名:フロモックス)
  • セフジトレン(商品名:メイアクトMS)

さっそく気になる『抗生剤』の安全性をズバッと確認しましょう。

 

『セフカペン』『セフジトレン』どちらも安心して使えるお薬です。
どちらも安全な「セフェム系」

ではおなかの赤ちゃんへの安全性はどうでしょうか。
妊婦期のセフェム系の使用に関しては、大規模な調査が行われています*1)。それによるとセフェム系の抗生剤を使っても使わなくても「形態異常(奇形)」の発生率に差はないというものでした。つまりベースラインリスクはかわらないんですね。

 

つまり、感染症が悪化してより悪い状態になるより抗生剤を飲んで治療したほうが良いということになります。

 

ただし、安全性の高い「セフェム系」抗生剤ですが、あくまで短期使用が原則です。『セフカペン』の長期使用で妊婦が低血糖をおこしたとの報告があります*2)

 

つぎは、注意すべき抗生剤をズバッと確認します。

ベースラインリスク
「薬を使っていないカップル」でも2~5%の頻度でおきてしまう形態異常のことを「ベースラインリスク」とよびます。つまり「妊婦出産」にはもともと2~5%の先天的なリスクがあるんですね。

*1) Czeizel AE, et al. : Use of cephalosporins during pregnancy and in the presence of congenital abnormalities: Apopulation-based, case-control study, Am J Obstet Gynecol, 184:1289-1296,2001.
*2) Nasu T, et al. : Newborn hypocarnitinemia due to long-term transplacental pivalic acid passage. Pediatrics International,56(5) : 772-794,2014.

 

『クラリスロマイシン』は注意する薬です。
クラリスロマイシンは「マクロライド系」

注意マーク004

クラリスロマイシンは商品名『クラリス』『クラリシッド』で知られているくすりです。セフェム系ではありませんので、「セフェム系」にくらべ大規模な調査は行われていません。そのため安全性については情報不足となります。

 

ただ、次のような悪い報告が1つだけあります。
クラリスロマイシを妊娠初期に使うことで流産の割合が8.3%から10%に増加したとのことです。ただし、もともとの流産率は15%程度ですのでこの報告はビミョーな感じです。ですが、より安全性の高い抗生剤がありますので、特別な理由がない限りは避けるべきです。

 

薬品名 セフカペン セフジトレン クラリスロマイシン
分子量 622 621 748
投与経路 内服 内服 内服
分配係数 104 >1000 7.18
酸塩基性 塩基性 塩基性 両性
pKa 3.7 3.1 8.48
たんぱく質結合率 45% 91.5% 42%
代謝活性 なし なし なし
半減期 1.01時間 0.8時間 4.04時間

 

 

まとめ

安心妊婦

抗菌剤は感染症治療に必要な薬ですが安全性が心配ですよね。今回は「セフェム系」抗菌剤と「マクロライド系」抗菌剤の一部をズバッと解説しました。参考にしてください。妊娠期間は長いです。その分感染症になる確率は高くなります。特に妊婦ママは感染症が重症化する傾向がありますので早めの診察と必要な抗菌剤の使用をお願いします。

 

 

 

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