妊娠中に『インフルエンザ治療薬』を使っていいか迷っているママへ

ある日、女性から『お薬相談室』に1本の電話がありました。

 

インフルエンザの検査で「+」でした。
インフルエンザの吸入薬を薬局で吸ったんですけど。。。
妊娠していること伝えていなくて・・・今になって心配になってきたんですけど赤ちゃんに影響あったらどうしよう・・・


 

安心してください。
インフルエンザの吸入薬は妊娠に影響ないです。
ただ、妊娠の初期と後期では”チョットだけ”使いわけがあるんですよ。


 

 

妊娠中の『インフルエンザ治療薬』をズバッと解説!

妊婦ママのインフルエンザに『インフルエンザ治療薬』使えます。

女性の感染症

妊娠中にインフルエンザになったら心配ですね。特に妊婦ママは免疫力が低下しているからインフルエンザにかかりやすいんです。そして悪化すると肺炎など重症化することも!

 

そうはいっても、インフルエンザは自分の努力だけでは防げないのも事実!だからインフルエンザにかかってしまったら、『インフルエンザ治療薬』を使います。

 

でも、「いま妊娠初期で影響が出やすい時期なんですよ・・・インフルエンザの薬、おなかの赤ちゃんに影響ないんですか?」って思っちゃいますよね。

 

重症化を防ぐため『インフルエンザ治療薬』を使ってください。

 

ちなみに、インフル治療薬には3種類あります。

  • 内服薬の『オセルタミビル(商品名:タミフル)』
  • 吸入薬『ラニナミビル(商品名:イナビル)』
  • 点滴(注射)『ペラミビル(商品名:ラピアクタ』

では、さっそく『インフルエンザ治療薬』の安全性をズバッと確認しましょう!

 

注意点

もう一つ、「ゾフルーザ錠」というインフルエンザの治療薬が内服でありますが、使用数がまだまだ少ないので今回の記事では解説していません。今後、使用数が増えましたら改めて安全性についてかきます。

 

『インフル治療薬』は妊娠時期で使い分けるのがベスト!

インフルエンザが流行するたびに調査が行われています(*1)。それによると、妊婦ママはインフルエンザにかかりやすく、そのあと体調が悪くなることがわかっています。やっぱり妊娠中、全期間を通して『インフル治療薬』は使った方がいいです。

 

妊娠初期は吸入薬『ラニナミビル(商品名:イナビル)』がおすすめ

『オセルタミビル(商品名:タミフル)』はインフル治療薬として長く使用されている薬です。そのため、妊婦ママへの安全性のデータが豊富にあります。安全性の点から『オセルタミビル(商品名:タミフル)』は一番のおすすめになります。

 

一方で、なが~く(2001年から)使われているため、最近のインフルエンザウィルスは『オセルタミビル(商品名:タミフル)』より強くなってしまいました。つまり、効果がない場合があるんですね(困ったことに・・・)。

 

そこで、最近のインフルエンザウィルスにも強い『ラニナミビル(商品名:イナビル)』の登場(2010年)です。

 

『ラニナミビル(商品名:イナビル)』は単に「強い」だけでなくて、1日1回の吸入で100%の効果を発揮します。薬局で薬をもらってその場で「す~っ」で治療完了です。『オセルタミビル(商品名:タミフル)』ば1日2回5日間飲み続けないといけないことに比べ、超~楽ちんですね。

 

さらに、吸入薬だから妊婦ママの血液にはほとんど入りません。だから胎盤を通過する量はかなり少ないため赤ちゃんへの影響が最小限となります。

 

ただ、『ラニナミビル(商品名:イナビル)』の赤ちゃんへの安全性のデータは十分じゃないんです。ズバッとできずごめんなさい。

 

ちなみに、同じ吸入薬の『ザナミビル(商品名:リレンザ)』(1日2回吸入5日間)に関しては、日本産科婦人科学会の調査で「インフルエンザ治療薬を使ったことで先天異常の割合は増えなかった」との報告があります。

 

妊娠後期は内服薬『オセルタミビル(商品名:タミフル)』がおすすめ

吸入薬にも弱点があります。それは、きちんと吸入したかどうかわからないこと!内服薬は「ごくん」とすれば確実に体内に薬が入ったことが確認できますが吸入薬はその感覚がない。それどかろか吸入したとたん「コホッコホッ・・・すえたの?吸えなかったの?」なんてことも。。。

 

妊娠後期、特に予定日が近いほど子宮が大きくなり肺を圧迫します。呼吸機能が制限され大きく吸えないこともあるわけです。このため妊娠後期には内服薬『オセルタミビル(商品名:タミフル)』がおすすめとなります。

呼吸機能が制限される
妊娠していない時にくらべ20%程度の肺機能が低下します。

 

インフルエンザで重症なとき命の危険があるときは点滴(注射)『ペラミビル(商品名:ラピアクタ』の検討も!

参考として読んでください。残念ながら妊婦ママがインフルエンザになり症状ががひどくなると、ママの命が危険にあることもあります(*2)

 

赤ちゃんへの安全性を考えている余裕がないかもしれません。ママの命を第一に考えなくてはならない時です。このような時には1秒でも早くインフルエンザの治療を始めてください。

 

妊婦への『ペラミビル(商品名:ラピアクタ』の使用に関する安全性情報は現在ありません。

 

インフルエンザ治療薬のデータを載せますので参考にしてください

薬品名 オセルタミビル ラニナミビル サナミビル
分子量 410 490.5 332
投与経路 内服 吸入 吸入
分配係数 0.54「水溶性] 1[中間] 測定不能[水溶性]
酸塩基性 塩基性 (pKa 7.75) 記載なし(pKa 不明) 両性 (pKa 複数)
たんぱく質結合率 未変化体≦50%,活性化体≦3% 未変化体67~70%,活性化体≦0.4% ≦14%
代謝活性 あり あり なし
半減期 6.4時間 74.4時間 2.56時間

 

まとめ

2009年の新型インフルエンザは世界的に超大流行(パンデミック)しました。残念ながら海外の妊婦の方も多く死亡しています。

 

幸い日本ではインフルエンザによる母体の死亡報告はないようです。これは日本のワクチン接種の推奨や48時間以内の治療率が高いためといわれています。

 

また家族に妊婦ママがいるときは何が何でもインフルエンザウィルスを持ち込まないようにしてください。私も絶対にウィルスを持ち込まないように決心してます。マスク着用、手洗い、うがいは基本ですので、ぜひ心がけてくださいね。

(*1)日本産婦人科学会”抗インフルエンザウイルス薬投与妊婦の出産と小児に対する特定使用成績調査(第2回目報告 2011.2)”(閲覧日2018年8月17日)http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20110228.html
(*2)朝日新聞ⅮIGITAL”新型インフル死者数、ブラジル557人 世界最多に”(閲覧日2018年8月17日)
http://www.asahi.com/special/09015/TKY200908270080.htm
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