【母乳育児】私が飲んだ「吐き気止め」は赤ちゃんに影響しますか?

ある日、1人の女性が『お薬相談室』に来ました。

 

昨日から吐き気が止まらないんです。
授乳中なんですが母乳を続けたいです。

 

『吐き気止めの薬』のんでも安全でしょうか?
赤ちゃんのことが心配で。。。

 

苦しいんですけど、私が「はき気」をガマンしたほうがいいですか?


 

吐き気止めに使われる薬に『ドンペリドン(ナウゼリン)』があります。
1日に全部で30mg飲むお薬です。

 

ママの体重を50kg、赤ちゃんの体重を8kgとすると

 

赤ちゃんは母乳から、多くて「0.0168㎎」飲むことになります。


 

その量って、赤ちゃんは大丈夫なんですか?


 

大丈夫です!

 

8kgの赤ちゃんが直接『ドンペリドン』を飲んだときの1日の安全量は16mgです!
母乳からはその100分の1しか飲んでないので赤ちゃんには影響ないです。

 

ママは気にせず「ドンペリドン」を飲んでください。
ガマンする必要はないですよ♪

 

詳しくはこのあとに解説します(^^)/


 

 

授乳中のママは『吐き気止め』をのんでも大丈夫です

赤ちゃんが母乳からのむ吐き気止め『ドンペリドン』の量を詳しく計算します

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ママの飲んだ『吐き気止め』を赤ちゃんがどれくらい母乳から飲んじゃうか?さっそく計算してみましょう。

 

赤ちゃんの『ドンペリドン』の摂取量を計算します

『ドンペリドン』は

  1. 消化管の動きをよくする働き
  2. 脳からの「吐こうとする」反応を軽減する

この2つのはたらきで「吐き気止め」の力を発揮します。

 

 

では、赤ちゃんが『ドンペリドン』を母乳からどれくらい摂取するかを計算しましょう。

 

授乳中のママが飲んだ薬が母乳中のどれだけ入りそれを赤ちゃんがどのくらい飲むかを示した数値をもとに計算します。
専門的なので「こんなもんなんかぁ」で読んでください。

  1. ママが飲んだ薬のうち13~17%がママの血液に入ります。
  2. 血液に入った『ドンペリドン』の4分の1がにママの血液から母乳へはいります(M/P 比0.25)。
  3. そして赤ちゃんが母乳からのむ『ドンペリドン』の量(RID)は0.01~0.35%になります。

これらの数値をもとに赤ちゃんが母乳から飲む『ドンペリドン』の量を計算しますね。ここでは「ママの体重を50kg」「赤ちゃんの体重と8kg」としますね。

 

ママの使う『ドンペリドン』は通常1日30㎎使う薬です。赤ちゃんが母乳からのむ『ドンペリドン』の量は0.01~0.35%なので、赤ちゃんの母乳からの摂取量は0.00048~0.0168㎎(=30㎎/50kg×0.01~0.35%×8kg)となります。

 

この量が多いか少ないかは『ドンペリドン』の小児の使用量を計算して確認してみましょう。

ドンペリドンの子どもでの使用量

1回使用量 1日回数(通常) 0歳児の平均体重 1日の最高量
1回1.0〜2.0mg/kg 3回 2.5~3.5kg 5~7㎎

(*1)『ナウゼリン』添付文書より

 

表によると、子供(0歳児)が安全に使用できる量5~7㎎です。
新生児でもも5~7㎎までは安全ですので、先ほどの母乳からの摂取量0.0168㎎は8kgの子どもの1回量としてもものすごく少ないですね。

 

だから授乳中でも安心して使える薬なんです♪

 

 

授乳期に「メトクロプラミド(プリンペラン)」は使わない薬

『メトクロプラミド』も消化管の動きをよくする働きと脳にある「吐こうとする」反応を軽減することで「吐き気止め」の力を発揮する薬ですが、『メトクロプラミ』はドンペリドンよりも脳への作用が強く出てしまうため、「震え」や「眼振」などを起こす可能性があります。

赤ちゃんの『メトクロプラミド』の摂取量を計算します

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「薬の説明書」にも”小児では錐体外路症状(震え・眼振等)が発現しやすいため、過量投与にならないよう注意すること”と記載されています。だから授乳中であれば”特別な理由がない”かぎり『メトクロプラミド』は飲まないでください。

 

念のため赤ちゃんが母乳からどれくらい摂取するか、下の数値から計算しますね。

  1. 『メトクロプラミド』は脂溶性なので母乳にはいります。
  2. ママの血液から母乳への『メトクロプラミド』の移行は0.5~4.06です(M/P 比)。
  3. 赤ちゃんが母乳からのむ『メトクロプラミド』の量(RID)は4.7~14.3%になります。

「ママの体重を50kg」「赤ちゃんの体重と8kg」としますね。

 

ママの使う『メトクロプラミド』は通常1日30㎎使う薬です。赤ちゃんが母乳からのむ『メトクロプラミド』の量は0.23~0.69㎎(=30㎎/50kg×4.7~14.3%×8kg)になります。

 

この量が多いか少ないかは『メトクロプラミド』の小児の使用量を計算して確認してみましょう。

メトクロプラミドの子どもでの使用量

1回使用量 1日回数(通常) 0歳児の平均体重 1日の最高量
1回0.5~0.7mg/kg 3回 2.5~3.5kg 1.75~2.45㎎

(*1)『プリンペランシロップ0.1%』添付文書より

 

表によると、子供(0歳児)が安全に使用できる量1.75~2.45㎎に対して先ほどの母乳からの摂取量でもっとも多い場合、0.69㎎は子どもの1回量としては安全な量ですよね。

 

くりかえしになりますが、メトクロプラミドばドンペリドンに比べて母乳に入りやすい薬です。なので赤ちゃんが母乳から飲んでも安全とされている割合(RID10%以下)を超えて14.3%となっています(下の表参照)。
このことから授乳中のママは”特別な理由がない”かぎり『メトクロプラミド』は飲まないでください。

 

『ドンペリドン』と『メトクロプラミド』のデータ載せますので参考にしてください。

薬品名 ドンペリドン メトクロプラミド
分子量 426 300
投与経路 内服 内服
分配係数 1.59「[脂溶性] 417[脂溶性]
酸塩基性 塩基性 (pKa 7.8) 塩基性 (pKa 9.27)
たんぱく質結合率 91.8% 30%
代謝活性 なし なし
半減期 10.3時間 4.7時間
M/P 比 0.25 0.5~4.06
RID 0.01~0.35% 4.7~14.3%

半減期:飲んだ薬が半分の量になるまでにかかる時間のことです。身体への影響の長さをみるデータとなります。
M/P比(milk/plasma ratio):薬の母乳への移行を比較するための指標です。数値が大きいほど母乳移行率が大きいことになります。
RID(relative infant dose):授乳による乳児の摂取率の指標です。これはママの飲んだ薬を赤ちゃんがどれくらい母乳から摂取するかを比較する数値です。やはり数値が大きいほど赤っちゃんへの影響が大きくなります。RIDは10%以下で安全といわれています。

 

まとめ

女性と赤ちゃん安心感005

ウィルス性の急性胃腸炎は「経口補水液」などで脱水を防ぎつつ安静が一番です。ただし嘔吐下痢が激しいときは逆に水分は取らないほうがいいですね。口からの水分補給が胃を刺激することで嘔吐を引き起こしてしまうから。ウィルス性胃腸炎の場合2日くらいで回復します。その間食事と水分が十分とれませんが母乳に影響が出ることはありませんので安心してください。

 

今回は「吐き気止め」について2種類ズバッと解説しました。実は、『メトクロプラミド』は母乳に蓄積しやすい薬なんです。このため母乳から摂取するのに安全とされている数値(10%以下)を超えてしまいました。。やはり”特別な理由がない”かぎり『メトクロプラミド』は飲まないでくださいね。

 

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